フリーターと社会人の違いとは?正社員になるための方法も解説
企業名が入ります

「フリーターと社会人の違いは何か」と聞かれて、すぐに明確な答えを出せる人は少ないでしょう。アルバイトやパートとして働いて収入を得ていれば、「働いている」という点では同じに見えるからです。
しかし、企業の採用現場では、フリーターと社会人は明確に区別されています。実際、フリーターとしての職歴が「社会人経験なし」と扱われるケースも少なくありません。とはいえ、正しい準備とステップを踏んでいけば、フリーターから正社員を目指すことは十分に可能です。
本記事では、フリーターと社会人の定義や違い、企業がどのように評価しているかについて解説します。フリーターから正社員になるための方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
フリーターと社会人の定義
フリーターとは、正社員ではなく、パートタイムやアルバイトなどの非正規雇用で生計を立てている人のことです。内閣府では、学生や主婦(主夫)を除く15〜34歳の若年層で、パートやアルバイトとして働いている人、もしくは働く意志のある無職の人を「フリーター」と定義しています。
参考:内閣府 フリーターの定義
一方、「社会人」という言葉には幅広い意味があります。広義では、学校を卒業し、何らかの形で社会に出て働いている人を指すこともありますが、採用やビジネスの現場では、一般的に「企業に正社員として所属し、責任ある立場で働いている人」を意味するのが通例です。
つまり、就職活動においては、フリーターは社会人としての経験を持たないと見なされるケースが多いのです。
フリーターが「社会人経験なし」と見なされる理由
フリーターとして働いている期間が長くても、企業側の採用基準では「社会人経験がない」と評価されるのが実情です。その背景には、業務内容や求められる責任、スキルの違いなど、いくつかの理由があります。
ここでは、フリーターが「社会人経験なし」と見なされる理由について解説します。
責任の大きい仕事をしていない
フリーターの仕事は、決められた業務を時間単位でこなす「作業的な役割」が中心です。マニュアルに沿って進めることが多く、業務範囲や権限も限られています。現場では臨機応変な対応が求められる場面もありますが、組織運営に関わる判断や、他者を指導するような責任ある立場を任されることはほとんどありません。
企業が採用時に重視するのは、「この人が組織の一員として、責任ある業務を担えるかどうか」という視点です。そのため、業務の裁量が限られていたフリーター経験は、社会人経験としては評価されにくい傾向があります。
ビジネスのスキルやマナーが身についていない
正社員として入社した場合、多くの企業ではまず、名刺交換や敬語の使い方、電話応対、メールの書き方など、基本的なビジネスマナーを学ぶ研修やOJTが用意されています。職種に応じた業務スキルや専門知識についても、段階的かつ体系的に習得できる環境が整っているのが一般的です。
加えて、日々の業務では、社内外とのやり取りやチームでの協働を通じて、実践的なスキルや社会人としての感覚が自然と培われていきます。こうした経験の積み重ねが、社会人としての基盤になるのです。
一方、フリーターにはそのような教育環境がほとんどなく、マニュアルや指示に従って作業をこなすことが中心になります。そのため、ビジネスマナーやスキルが身についていないと見なされることが多いのです。
フリーターから正社員になるための方法
フリーターから正社員を目指す場合、求人にただ応募するだけでは、書類選考を通過できないことも多く、計画性のない活動ではなかなか結果に結びつきません。正社員として採用されるには、企業が求める人物像やスキルを理解し、戦略的にアプローチしていくことが大切です。
ここからは、フリーターが正社員になるための代表的な4つの方法を紹介します。それぞれの特徴とメリットを理解し、自分の状況に合った方法を検討してみてください。
アルバイト先で正社員になる
現在働いているアルバイト先で正社員登用を目指す方法は、現実的な選択肢のひとつです。勤務先に正社員登用制度がある場合は、日頃の勤務態度や成果によって、正社員に採用される可能性があります。
この方法の大きなメリットは、すでに業務内容や人間関係、社風を理解していることです。企業側としても、すでに実績のあるスタッフを登用する方が、新規採用よりもミスマッチのリスクが少なく、即戦力として期待しやすいという側面があります。
ただし、職場によっては、制度が存在しない、もしくは登用の前例がほとんどないというケースもあります。そのため、まずは制度の有無や登用の実績を確認することをおすすめします。
ハローワークを利用する
ハローワークは、国が運営する公共職業安定所です。求人の紹介に加えて、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策、職業訓練の紹介など、幅広い支援を受けることができます。フリーターにとっても、就職への第一歩として活用しやすい手段といえます。
一方で、求人の中には待遇面や労働条件で注意が必要な企業が含まれていることもあります。紹介された企業については、自分でも評判や実態を調べ、納得したうえで応募しましょう。
求人サイトを利用する
求人サイトを使えば、時間や場所にとらわれず効率的に求人情報を探すことができます。多くのサイトでは、「フリーター歓迎」「未経験可」「正社員登用あり」といった条件で絞り込めるため、自分に合った企業を見つけやすいのが特徴です。
求人サイトには、大手の総合型サイトに加え、第二新卒やフリーター・未経験者を対象とした特化型のサイトもあります。こうした特化型サイトを活用すれば、未経験者に理解のある企業や、ポテンシャルを重視する企業と出会えるチャンスが広がるでしょう。
一方で、掲載されている求人数が多い分、応募が集中しやすく競争率が高くなる傾向もあります。気になる求人を見つけたら、タイミングを逃さず早めに応募することが大切です。
就職サポートを受ける
就職エージェントなどの就職支援サービスを活用するのも、正社員になるための有効な手段です。エージェントは、専任のキャリアアドバイザーが面談を行い、本人の希望や適性に合わせて求人を紹介してくれます。
また、応募書類の添削や面接対策などのサポートが受けられるため、自己流では見落としがちなポイントの対策もできます。特に、フリーター期間が長い方や、どのような職種が自分に向いているか分からないという方には、専門家の視点が大きな支えになるでしょう。
フリーターが転職する際の4つのポイント
求人票に「未経験者歓迎」と書かれていても、実際にはポテンシャルや学ぶ意欲、人柄、そして将来性など、さまざまな視点から総合的に評価されます。そのため、準備不足のまま動き出しても、思うような結果は得にくいのが現実です。
ここでは、フリーターから正社員を目指す際に、押さえておきたいポイントを4つ紹介します。
1. 自己分析をする
フリーターから転職を目指すうえで、自己分析は欠かせないステップです。まずはこれまでのアルバイト経験を振り返り、「どんな仕事にやりがいを感じたか」「どのような環境で力を発揮できたか」などを整理しましょう。
また、自分の得意なことや苦手なこと、働き方の希望なども明確にすることで、ミスマッチの少ない職場選びが可能になります。自己分析を通じて、自分に合った職種や業界の方向性が見えてくるため、応募先の選定や面接対策の質を高めるうえでも非常に重要です。
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2. 資格を取得する
スキルや経験が十分でない場合は、資格を取得するのも一つの手です。特に未経験分野への転職を目指す場合、資格を取得しておくことで、仕事への意欲をアピールできます。
企業側にとっても、採用後の教育コストが抑えられる、前向きな姿勢がうかがえるなど、評価につながる材料になります。大切なのは、資格の難易度よりも、目指す業界や職種との関連性です。
以下の表に、代表的な職種と評価されやすい資格をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
3. 未経験のつもりで挑戦する
フリーターとしての経験があっても、それを社会人経験として過剰に主張すると、かえって逆効果になることがあります。企業が評価するのは、社会人としての基礎力や責任感であり、それが伴わない職歴は実務経験として見なされにくいためです。
フリーターから正社員を目指す場合には、「未経験だからこそ学ぶ意欲がある」や「これまでの経験を今後の成長に活かしたい」という姿勢が大切です。
謙虚な姿勢と前向きな自己分析は、採用担当者に好印象を与えます。自分を良く見せるのではなく、「これからどのように成長していきたいのか」を明確に伝えることを意識しましょう。
4. エージェントを活用する
フリーターから正社員への転職を目指すなら、エージェントを活用することをおすすめします。フリーターの方の中には、「自分に合った仕事が分からない」や「どう自分をアピールすればいいか分からない」という悩みを抱えている方もいるでしょう。エージェントを活用すれば、プロのキャリアアドバイザーに相談しながら、就職・転職活動を進められます。
エージェントでは、具体的に以下のような支援を受けられます。
フリーターの就活についてのよくある質問
最後に、フリーターの就活についてのよくある質問について紹介します。
Q. フリーターから正社員になる年齢制限はありますか?
- 明確な制限はありませんが、年齢によって企業の評価基準は変わります。
企業が「未経験者歓迎」としていても、実際の採用現場では年齢がひとつの判断要素になることは確かです。特に20代であれば、職務経験よりもポテンシャルや今後の成長力に期待して採用されるケースが多く、いわゆる“育成前提”のポジションに入りやすい傾向があります。
一方で、30代以上になると、企業側は即戦力性や専門スキル、社会人としての経験を重視するようになります。そのため、フリーター期間が長かった場合や業務経験に乏しい場合は、採用難易度が上がることも理解しておくべきでしょう。
ただし、30代や40代での正社員就職が不可能というわけではありません。実際に、異業種からのチャレンジや再スタートで成功している人も多くいます。年齢が上がるほど、「自分がどう貢献できるか」を明確に伝える力や、職種の選び方、取得している資格、そして過去の経験をどう活かすかが重要になります。
Q. フリーターに対する企業のイメージは?
- 採用担当者によって異なりますが、全体としては「不安」と「期待」の両方を持たれることが多いです。
フリーターに対する印象は、企業や担当者の価値観によって多少異なります。ただし一般的には、「責任感が薄いのでは」「職場のルールに馴染めないのでは」といったネガティブな印象を持たれる傾向があるのも事実です。とくに正社員経験がない場合、「組織の一員として働いた実績がない」と見なされ、ビジネスマナーや業務への責任感に懸念を持たれることがあります。
一方で、同じ職場で長く働いていたり、現場で信頼を得ていた実績がある場合は、「真面目で継続力のある人材」「実務に強い」と評価されるケースもあります。フリーターという働き方だけで評価が決まるのではなく、「どのように働いてきたか」「今後どう働きたいか」の説明が重要になります。
過去の経歴は変えられなくても、そこから何を学び、どう活かそうとしているのか。そうした姿勢が、企業にとっての評価軸になります。アルバイト経験であっても、目的意識や学びが伝われば、強みとして認識される可能性は十分にあります。
Q. フリーターにおすすめの職種は?
- 未経験歓迎の職種や、アルバイト経験が活かせる業種が狙い目です。
これまでのアルバイト経験が評価されやすい職種や、人柄やコミュニケーション力が重視される仕事は、フリーターからでも挑戦しやすい傾向があります。
以下に、フリーターにとって比較的ハードルが低く、採用されやすい代表的な職種とその特徴をまとめました。
まとめ
フリーターと正社員の間には、雇用形態だけでなく、責任の重さ、業務の幅、待遇、そして将来に向けたキャリアの築き方においても、はっきりとした違いがあります。そのため、企業の採用現場では、フリーター経験が「社会人経験なし」と見なされるケースも珍しくありません。
とはいえ、今フリーターであっても、正社員になるチャンスは十分にあります。大切なのは、自分の経験や強みをどう整理し、どのように企業へ伝えるかです。就職活動の方法や視点を少し変えるだけで、結果が大きく変わることもあります。
自信が持てないときは、就職・転職エージェントの力を借りるのも有効です。キャリアアドバイザーによる求人提案や面接対策など、プロによる伴走があることで、不安が確かな一歩に変わっていくはずです。
迷っている時間もキャリアの一部です。可能性を信じて、今日からできる行動を積み重ねていきましょう。
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